強磁場下でのPIG型イオン源における粒子輸送の解析

担当:K.S

ガン治療に用いられる放射線治療について、陽子線治療は従来のX線治療に比べて患者さんの正常な細胞への負担が小さいとして注目されている手法です。そして陽子線治療装置ではイオン源というイオンを発生させる装置を用いて陽子を発生させますが、これに用いられるイオン源としてPIG型イオン源と呼ばれるものがあります。このイオン源では容器の側壁と平行に強磁場がかけられており、電子がローレンツ力によって磁場に巻き付けられることで長い距離を飛行し中性粒子との衝突頻度を上げ、効率よく陽子生成ができるようにしています。本研究ではこのようなイオン源の粒子輸送をシミュレーションし、陽子線引き出し効率の向上を目的として研究を進めています。

PIG型イオン源の模式図

研究手法としてはPIC法という粒子シミュレーション法を用いています。この方法ではまず各格子点に対して電荷を割り当て、電荷密度からポアソン方程式を用いて各セルでの電位を求めたのち、運動方程式により粒子速度を求め粒子の位置を更新します。これらの手順を繰り返すことで電位と粒子位置を順次求めていきます。

PIC法の概略