核融合加熱用負イオン源における水素同位体効果の数値解析

担当 : 副島(B4)

研究背景

 核融合発電では燃料となるプラズマを高温に加熱する必要があります。プラズマ加熱法として、荷電粒子ビームを用いた方法が利用されています。荷電ビームを生成する負イオン源について、性能向上に向けて、実験と数値解析の両面から研究が行われています。以下にプラズマ加熱法の概要を示します。

負イオン源では水素負イオンの生成および加速を行います。この負イオン源が本研究の研究対象です。

中性化セルでは水素負イオンを電荷を持たない水素ビームに変換します。これは核融合炉内の強力な磁場の影響を受けなくするためです。

水素ビームを核融合炉内の核融合プラズマに照射することでプラズマを高温に加熱します。

 核融合科学研究所では、負イオン源における運転ガスを軽水素から重水素に変更した実験を行いました。その結果、軽水素運転の場合と比べて負イオンと共に引き出される電子密度が3倍に増加することが明らかになりました。これにより負イオン源の運転時間に制限がかかる問題が指摘されましたが、電子増加のメカニズムは未だ明らかになっていません。

研究目的

 3次元電子数値解析モデルであるKEIO-MARCとレート方程式モデルの2つのモデルを用いて、重水素化による電子密度増大に関して、数値解析での再現およびメカニズムの解明をすることが目的であります。