水素負イオン源におけるプラズマ温度がビーム引き出しにあたえる影響

担当: 能見 桂太郎

研究背景

スイスの欧州原子核研究機構(CERN)では大型の加速器を用いて素粒子研究が進められています。主に、LHCと呼ばれる大型ハドロン衝突加速器を用いて超高エネルギー粒子の衝突実験を行っている。

高周波放電型水素負イオン源(RF水素負イオン源)は負イオンビームを生成する装置で、生成効率が高いことに加え長い運転時間が確保できるため、CERNで新しく開発されている線形加速器LINAC4において利用されている。しかし、負イオンビームを生成するRF水素負イオン源は、引き出された負イオンビームに振動成分が含まれることが観測されており、以下がその様子である。この原因の解明が現状RF水素負イオン源の課題となっている。

実際にRF 水素負イオン源で観測された
負イオンビーム振動の様子

先行研究において、負イオン源内のプラズマ密度が時間変化するとビーム振動が起こる可能性があることが数値計算により示された。しかし、実際のRF負イオン源では、密度よりも温度が振動している可能性が指摘されている。 そこで、本研究では、負イオン源内のプラズマ温度が負イオンビームの引き出しに与える影響について数値解析を行い、ビーム振動の物理機構を解明することを目的とする。