表面生成型負イオン源の電位構造に対する電極形状効果

担当: S.I

1. 研究背景と目的

核融合発電実現には, プラズマを数億度に維持することが必要であり, その手段として中性粒子ビーム入射(NBI)法が採用されている. NBIに用いる中性粒子ビームは, 水素負イオン源で作られた負イオンビームを中性化することで生成される. 効率よくプラズマを加熱するには, 高収束性を持つ負イオンビームを生成することが必要である. そのような負イオンビームを生成するには, イオン源内部の電位構造の理解が不可欠である. 負イオンは, プラズマ電極(PG)と引き出し電極(EG)間の電場によりビームとして引き出される。先行研究[1]において三次元シミュレーション解析が行われ、従来法で評価した引き出し面位置(形状)は、負イオン源における電位構造と異なることが示唆された. また, プラズマと接するPGの形状が装置内の電位構造に影響を及ぼす可能性が示唆された. しかし, 先行研究で用いられた3次元シミュレーションは計算負荷が高いため, 電極の形状を変化させた解析には至っていない. そこで本研究では, 形状変更が容易な2次元シミュレーションを行い, PGの幾何形状が電位構造に与える影響を評価する. これにより, 高収束性ビームの実現に向けた普遍的なイオン源のプラズマ物理を解明することを本研究の目的である.

2. 研究手法

本研究のシミュレーションでは, プラズマ中の荷電粒子の運動と電磁場の時間発展を自己無撞着に扱うことができるParticle-in-Cell(PIC)法を用いる(図1). 先行研究では3次元のPIC法で計算をしていたが, 本研究では2次元のPIC法を採用する. 具体的には, 2次元空間を格子状に分割し各粒子の電荷を格子点に割り当てる. そこから電場を計算し, 運動方程式を解くことで各粒子の新たな位置を更新するというステップを繰り返す.

       図1 PIC法の計算ステップ

[1] 林克哉, 慶應義塾大学博士論文, 2025.