不純物輸送解析による核融合プラズマへの不純物影響評価

担当:R.T

研究背景

核融合炉では, ダイバータ板への高熱負荷によりタングステン(W)不純物が発生する. この損耗によって発生したW不純物は, コアプラズマに混入すると放射を増大させ, 高温維持が不可欠なコアプラズマ温度を低下させる要因となる. 一方で, ダイバータ板近傍にW不純物が存在すると, その放射によってプラズマを冷却し, ダイバータ板への熱負荷を低減させることが期待される.そのため, W不純物の輸送過程を理解し, 適切に制御することが重要である.


そこで本研究では, W不純物の全軌道を追跡するシミュレーション手法を用いて, W不純物の輸送過程及び放
射分布を詳細に明らかにし, ダイバータ板の熱負荷低減効果をより正確に評価することを目的とする.

研究手法

本研究では, 核融合実験装置 JT-60SA を対象として,不純物輸送コードIMPGYROを用いたシミュレーション解析を行う. まず, 統合コードSONIC によって事前に計算された背景プラズマの情報を IMPGYRO に入力する. 次に,IMPGYRO でW不純物の運動方程式を解くことで, W不純物の位置と速度を追跡する. 計算された位置と速度に基づき, 各地点でのW不純物による放射エネルギー損失Pradをデータテーブルを参照して算出する. これによりダイバータ板近傍における放射エネルギー損失の分布を得る.