核融合原型炉に向けたダイバータプラズマの数値解析

担当:中野 誠也

 核融合技術を発電プラントとして実証するために、原型炉の設計研究が進んでいる現在、炉心プラズマから排出される高熱流とプラズマ粒子の処理を行うダイバータの設計は、実現に向けた最重要課題である。そこで、原型炉として高核融合出力で定常運転を行うには、ダイバータへの熱負荷・損耗を低減する必要があり、ダイバータ前面でプラズマを低温化して、中性粒子(原子・分子)との相互作用によって高温プラズマが壁に直接当たらなくする「非接触ダイバータ」が不可欠となる。

 以下の模式図では、高温プラズマがダイバータ板に向かっていく際に、プラズマが直接壁に当たっている接触状態(a)と中性粒子によって熱・粒子負荷が緩和される非接状態(b)を表している。

     ダイバータに向かうプラズマの様子

 しかし、既存のトカマク型装置と比べてパラメータや形状が大きくなる原型炉においては、ダイバータプラズマの特性、特に非接触ダイバータ特性の予測研究は十分ではない。

 本研究では、 核融合プラズマ境界領域における統合コードSONICを用いた数値シミュレーションにより原型炉における非接触ダイバータの特性を明らかにすることを目的としている。

 原型炉設計で周辺部に排出される約250MWの熱流のうち、希ガス不純物等の放射によって損失させる電子エネルギー(放射パワー)をPrad= 50, 100, 150, 200MWで固定したパラメータスキャンを行い、ダイバータ領域におけるプラズマの状態、ダイバータ板への熱負荷を評価した。

    内側・外側ダイバータにおける電子温度分布
    内側・外側ダイバータにおける熱負荷分布

 ストライク点付近における非接触状態は放射パワー150MW以降から進み、200MWの条件では、内側・外側ともにダイバータ前面において、より広範な非接触プラズマの形成と熱負荷の低減が見込まれる。また詳細に原子・分子過程を調べると、非接触過程が進むにつれて相対的にプラズマより高いエネルギーを持った中性粒子による加熱が起こっていることが分かった。

 今後は、ダイバータ領域において、非接触状態で中性粒子がイオンのエネルギーを加熱させる原因となる個々の原子・分子過程についてより詳細な解析を行い、原型炉におけるダイバータプラズマの制御手法について検討していく。

      原型炉概念図 原型炉設計合同特別チーム
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